成熟市場の事業
Photoshopをどうやって売るのか。
土曜も潰されてやっていた研修はビジネスモデルについてだったのだが、いろんな会社から来ていていわゆる成熟市場が主戦場の企業も多かった。そんな人達が活路を求めるために動く方向性が大きく2つあって、一個は新事業進出。要するに新しい市場を求める方向。もう一つが、今の市場に新しい伸びしろを作る方向性。これは一旦市場を壊すところまでいくのが目標となる。
問題は後者。大体、伸びはないけどそれなりに売り上げているという現実があるので、どう動くかが非常に難しい。今あるアセットの延長で伸びしろを作ろうとすると、市場を大きくするほどの効果はなく投資だけが消えていく。テレビの高解像化とか3Dとかはこのパターン。市場が求める要素ではないので大きくはならない。ということで、今までのビジネスをある程度壊す覚悟の戦略が必要となる。そこで思い出すのがAdobe。
Adobeは、数年前に箱売りのソフトを全部やめて(ごく一部は続けている)、全部月額料金に変更した。これは、ユーザがなかなかバージョンアップしてくれないので、収入がどんどん減ってきたからだ。ユーザがバージョンアップしないのも当然で、Photoshopなんか機能的にも品質的にも高すぎて一回買ったらもう十分なのです。しばらくは、レンズプロファイルを追加してあげない、とかOSアップグレード時にサポートしないとかちびちびやっていたけど、結局あまり効果はなかった。
ということでAdobeは月額料金制しかやらないようになった。新規ユーザはもうこの月額のやつで契約するしかない。昔からのユーザはある程度使い続けられるけど、OSアップグレードのタイミングで動かなくなるとか時間の問題だろう。で、最初は逆にユーザが離れるんじゃないかと思ったけど、意外とうまくいっている。写真編集向けセットとかを安く提供したり、工夫があったのも効いているとは思う。自分もPhotoshopとLightroomのセットのやつを契約している。これは、箱売りビジネスを破壊して新たなビジネスに移ったケースで、かなり勇気がいったと思う。まあ、うまくいかなければ戻すのは簡単だったろうけど。
こういう売り方のシフトとか、儲ける部分のシフトってのを考えないといけないけど、業界によっては難しい。ソフトはまだやりやすいと思う。これがハード市場になるとかなり難しそう。日本の古くからの企業はこういう問題をたくさん抱えている。ということがよく分かって、ちょっとどんよりした気持ちになりました。
—–
Leave a comment