バケモノの子
細田守監督最新作、「バケモノの子」を観てきました。
予告編など見た感じ、汗臭いアニメだなあという感じだったのですが、実際に汗臭い感じでしたが、思っていたより親子のストーリーでした。
小さい時に親が離婚して、離婚後引き取られた母親も死に、家出してしまった主人公がバケモノに拾われて弟子入りするところからお話は始まります。主人公の蓮は、最初はバケモノの世界に迷い込んでしまっただけで、弟子入りするつもりもなかったのですが、蓮を拾ったバケモノの熊徹も自分と同じ孤独であることに共感して弟子になります。この2人の関係がストーリーのほとんどを創ります。いつも言い争いながらやっていく2人ですが、根っこではお互いに尊敬しあっている、それぞれがそれぞれでどうやればうまくやれるか悩んでいる姿がよかったです。熊徹は、ちゃんと蓮を育てて、武道を教えてあげたいんだけど不器用でうまく教えられない。でも、すごい頑張ろうとしている。蓮は、強くなりたいけど熊徹のいうことが理解できないので、なんとかして熊徹から学ぼうととにかくマネをしたりして頑張る。そんな2人の修行シーンが作中で一番印象に残りましたね。
今回、これまでの細田作品にない武闘派な表現が多いのですが、実際はやはり人間ドラマが中心です。上で書いた熊徹と蓮のドラマ。師匠と弟子の関係だけど、実態としては父と子なんですね。実際、途中から本当の父親が登場して2人の父の間で迷ってしまう蓮が描かれます。9歳で拾われ、その後9年熊徹と過ごしたところで父親と再開するので、父親より熊徹の存在の方が大きいわけですね。それでなかなか父親との距離を縮めることもできない。熊徹と父親のどちらに寄り添うべきなのか。まあ、それは当然ハッピーエンドになるのですが、子供らしい心情がよく描かれています。この辺は、細田さんの十八番ですよね。
最後は、感動というよりは爽快って感じですね。あまりジメジメしたお涙頂戴ではなく、爽快に笑い飛ばすって感じ。この感じはサマーウォーズに似ているかな。とにかく終始勢いが感じられる爽快な作品なんですよね。熊徹の「そうこなくっちゃ」っていうセリフが実に楽しそうで、なんだかキャラクタを最も表しているセリフだったなあ。江戸っ子って感じ。
ヒロインも当然登場し、それなりに重要な役回りを演じるのですが、過去の作品に比べるとあまりスポットライトを当てなかったんですね。途中からラブストーリーになるのか?と思わせる雰囲気になりましたが、実際はそうはならず、どちらかというと主人公を影で支えるヒロインって感じ。これまでの作品に比べ明らかにヒロイン色を落としていますね。でも、今回はそれがすごくよかった。とことん、熊徹と蓮の活躍を描き切っていて、本当気持ちいい。
個人的には、おおかみこどもと同じぐらい楽しかったかなあ。おおかみこどもは、母と子だったけど、バケモノの子は父と子なんですよね。まったく違う描き方で面白かったです。いや、細田監督まだまだ引き出し持ってるなあ。
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